棟方志功作品
善知鳥(うとう)は北国に生息する海鳥で、その肉は美味だと言います。この鳥にまつわる伝説があります。
善知鳥はひな鳥を上手に隠しすぎて、親鳥が「うとう」と鳴いてひなが「やすかた」と答えないと、親鳥でも見つけられなくなってしまう。ある日猟師が親鳥の鳴きまねをしてひなを捕まえると、一滴でも浴びると幽鬼になってしまうという血の涙を流しながら追いかけてきた。その涙を浴び幽鬼になってしまった猟師は、旅の僧侶に自分の簑と袈裟を預け家族に届けてほしいと頼んだ。
棟方の故郷の近くには善知鳥神社があり、能の演目の善知鳥と北国の風景が彼の中で「白と黒の絶対性でつかみたい」というイメージを生んだようです。棟方の言う「白と黒で、北国の持っている何とも言えない燃え上ってくるもの」が見事に伝わってきます。